インプラント治療の資料(小冊子)あり
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ショートインプラント

Short Implant

ショートインプラントとは?

患者様のもともとの骨をいかすことで、シンプルで安全なインプラント治療を提供します。

長さ6ミリ〜8ミリの短いインプラントが、ショートインプラントです。インプラントメーカーの技術革新により、奥歯では長さ6ミリのショートインプラントでも、高い成功率が期待できるようになりました。

ショートインプラント
副鼻腔炎の既往があり上顎洞への骨造成が出来ない場合や、下顎菅までの距離が近い場合では、ショートインプラントを積極的に選択しています。外科的にシンプルな方法なので、患者様への身体への負担がとても少ないです。

ショートインプラントのメリット・デメリット

メリット
  • 上顎洞を触らないので、副鼻腔炎になるリスクがない。
  • 下顎管に近いケースに使用すると、神経麻痺が起きるリスクがない。
  • 大がかりに骨を造る必要がないので、痛みと腫れを最小限にできる。
デメリット
  • 短くて太いインプラントなので、前歯には使用できない。
  • まだ長期的なデーターが出揃っていない。
  • 短いので、インプラントの本数が増える傾向となる。

ショートインプラントの適応

  • 審美性が求められない奥歯
  • 垂直的な骨量がなく、水平的な骨量がある場合。
  • 副鼻腔炎になったことがある方。
  • 大規模な骨を作る手術を避けたい方。
  • サイナスリフトを避けたい方。

ショートインプラントの医学的根拠

直径4ミリ長さ10ミリの通常のインプラントの表面積は152ミリ平方メートル。
直径5ミリ長さ7ミリのショートインプラントの表面積は167ミリ平方メートル。

よって骨と接触する面積は、ショートインプラントの方が大きい。

2016年に発表された医学論文によると、

Short(6-mm)dental implants versus sinus floor elevation and placement of longer (≧10mm) dental implants: a randomized controlled with a 3-year follow-up.Bechara S,et al. Clin Oral Implants Res.2016

長さ6ミリのショートインプラントは、骨造成し長さ10ミリ以上のインプラントを使用した場合と同様の結果であった。

治療例 1

左上の奥歯が取れてしまい、インプラント治療をご希望で来院された患者様の初診時口腔内写真です。
最初に相談した大学病院では、サイナスリフトを併用しての骨増生手術を勧められたため、治療期間が1年以上かかると言われていました。
当院では、抜歯と同時にショートインプラントを埋め込むことで、手術回数1回かつ治療期間は2ヶ月半で済むことを、患者様にお伝えしました。

咬合面から見た口腔内写真です。
歯根が壊れていることが分かります。

まず抜歯を行いました。
ただ残せない歯を抜くのではなく、短いサイズのインプラントでも安定するように周囲の骨を温存することが、成功のポイントです。

直径5ミリ長さ7ミリのショートインプラントを使用します。

両隣の歯のカーブに沿った、理想的な位置にインプラントが埋め込まれました。

インプラントに仮蓋のパーツを装着してから、隙間に人工骨を挿入します。
ここまでの手術時間は抜歯も含めてわずか20分。
ショートインプラントを活用することで、処置時間の大幅な短縮も可能となります。

手術後のCT写真です。
太くて短いインプラントが骨内にしっかりと収まっていることが分かります。
この状態で2ヶ月ほど待てば、インプラントは骨と結合します。

手術から2ヶ月後、型取り用のパーツ(スキャンボディ)をセットして、適合精度をレントゲンで確認します。
奥歯のインプラント上部構造の型取りは、プライムスキャンによる光学印象で行っています。
カメラによる型取りですので、嘔吐反射がある方でも辛くありません。

手術から2ヶ月半後に、上部構造(セラミック歯)が入りました。

側方から見ても、どこがインプラントか分からないクオリティです。

治療例 2

初診時口腔内写真。
左から2番目の歯が残せない状態でした。
長い間この状態で放置していたため、歯を支える歯槽骨が溶けていました。

抜歯をして、真ん中に小さい穴を開けて、徐々に骨を圧縮しながら広げていきます。
骨を人工的に造るのではなく、ご自分の骨を生かすことで、1回の外科処置のみで済みます。

インプラントを埋め込むための穴が完成しました。
ショートインプラントを使用することで、シンプルかつ安全に外科処置が終わります。

この症例では、直径6ミリ長さ7ミリのショートインプラントを選択しました。

インプラントを埋め込んだ後の、口腔内写真。
両隣の歯のちょうど真ん中の理想的な位置に入りました。

治療後の痛みと出血を最小限にするために、隙間にコラーゲンスポンジを敷き詰めて、オペ終了となります。

オペ後のCT写真。
ショートインプラントを使用することで、下顎神経の損傷を確実に防ぐことができます。

オペから2ヶ月後のレントゲン写真。
インプラント周囲に骨が出来てきていることがわかります。

オペから2ヶ月半後にインプラントの上部構造(セラミック歯)が完成しました。
レントゲンで適合精度も確認します。

治療終了後の口腔内写真。
インプラント治療と並行して、銀歯を無くすメタルフリー治療も行いました。

治療例 3

初診時CT写真です。
既存骨は3ミリほどしかありません。

シミュレーションをしてみても、インプラントが上顎洞に突き抜けてしまいます。
ショートインプラントとソケットリフトを併用して、既存骨と人工骨を上顎洞に押し上げていく計画を立てました。

オペ前の口腔内写真です。

痛みと腫れがないように最小限の切開のみを入れます。

ソケットリフトにより、上顎洞への骨造成を行いました。

直径5ミリ長さ7ミリのショートインプラントを埋め込んでいきます。

ショートインプラントが理想的な位置に埋め込まれました。

2糸だけ縫って治療終了となります。
オペに要した時間は15分のみですから、痛みと腫れもありません。

オペ終了後のCT写真です。
インプラント先端部がドーム状にキレイに盛り上がっていることが分かります。
サイナスリフトによる大規模な骨造成では、治療期間が1年くらいかかってしまうこともあります。
ショートインプラントとソケットリフトを併用することで、3ヶ月で最終的なセラミック歯を入れることができます。

オペから3ヶ月後に完成したセラミック歯をセットします。
真ん中の穴にはスクリューが隠れており、このスクリューでインプラント本体とセラミック歯を連結します。

レントゲンでインプラント本体とセラミック歯の適合精度も確認します。
適合精度にこだわることで、インプラントは長期間において安定します。

最後にセラミック歯の穴を樹脂で埋めて、治療終了となります。