昨日は歯内療法の学会のため、東京の九段下まで行ってきました。歯内療法とは、文字通り歯の内部=根っこの治療のことです。根っこの先に膿みが溜まったり歯が痛いときに、神経を取る治療で、経験がある方も多いと思います。日本は残念ながらこの分野で非常に遅れているのが現状です。アメリカのペンシルベニア大学に留学されていた3人の先生方の講義を聞くことが出来て、世界水準のトレンド・コンセプトを学んできました。本当は短期でもいいので留学したいなあという願望もあるのですが、クリニックを開業した以上はそんなに休診にするわけにもいかないのが難しいところです。今思えば、勤務医で自由にできた20代のうちに行っておくべきだったと、ちょっと後悔もしたりしてます。
前歯が腫れて痛みを伴って来院された患者さんのレントゲン写真です。右から2番目の歯の根っこの先が黒くなっていることが、分かりますか?虫歯を放置していたせいで、歯の神経が死んでしまい細菌感染が起きてしまっています。問診したところ「3日くらい痛かったけど、我慢してるうちに痛みがなくなったから治ったとばかり。。。」残念ながら治って痛みがなくなった訳ではなく、神経が死んでしまい痛みを感じる機能が失われてしまったのです。そうこうしているうちに、細菌は神経を通り過ぎ、歯を支える骨にまで感染し増殖しています。細菌が増えると膿みができて、代わりに骨がなくなるという現象がおきます。更に放置すると、骨がないので歯がグラグラしてきて抜歯する羽目になるのです。だから、膿んでいる歯があれば痛くないからと言って放置は絶対にしてはいけません。
根の治療終了後のレントゲン写真です。神経の代わりに白いお薬が緊密に入っていることがお分かりになると思います。1回目の治療時間30分、2週間後の2回目の治療時間30分ですが、すでに黒い陰が小さくなってきています。歯の外側は免疫力が働くので、半年ほど待てば、骨は元通りに再生します。免疫力が及ばない歯の内部の細菌=汚れを取り除き、お薬で密閉する。これが成功のポイントです。