インプラント治療は、顎の骨量があればとても簡単です。
インプラント(人工歯根)が、第二の永久歯として長く機能するには、直径3.7㎜長さ8㎜以上の大きさのものを埋め込む必要があります。更に細く短いインプラントも製造されていますが、強度に劣るため、どのメーカーのものにも使用には制限があります。
インプラントが骨とくっつき安定するためには、周囲に2㎜以上の骨量が必要だと言われています。これ以下の厚みだと血流が滞るので、段々と骨が痩せていき、インプラントが脱落してしまいます。
となると必要な骨のボリュームは、幅が3.7+2+2=7.7㎜・高さが8+2=10㎜となります。もともと日本人は欧米人と比べて骨格が華奢なので、これだけの骨量が確保できない場合も多々生じてしまいます。インプラントが折れたり抜けてしまうなことは絶対に避けなくてはいけませんから、骨がないならテクニックを駆使して骨を造ります。骨さえ造れば、あとは簡単なケースとして行うことが出来るのです。
では、どうやって骨を造るか?上あごの場合はサイナスリフトという方法を用います。
上あごの上部には、上顎洞(サイナス)という大きな空洞があり、鼻腔へとつながっています。
上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を剥離してリフトアップし、それによってできた隙間に人工骨を移植してインプラントを埋入するのに必要なスペースを確保します。同時にインプラントも埋め込みます。
時間は1時間くらいでオペ後の腫れと痛みもほとんどありません。実用化されてから10年以上たってますので、安心して受けれる処置だと思います。
歯がないところへのインプラント治療を希望された患者さんのレントゲン写真です。左上は骨の高さが6㎜しかないため、サイナスリフトでの骨造成と同時にインプラントを埋め込みました。
上顎洞粘膜をリフトアップすることで、長さ12㎜のインプラントも無理なく収まりました。3ヶ月ほど待つと骨が出来るので、奥歯でしっかり噛むことが出来ます。