今日は上顎に骨がない場合の2つめの骨増生の方法についての記事になります。
骨の量があまりに少ない場合は、サイナスリフトと呼ばれる方法を選択します。インプラントを入れるための穴とは別に、歯茎を大きく開き上顎洞側方の骨にも穴を開けて、そこから人工骨を入れていきます。
サイナスリフトは、すべて目で確認しながら行えるので、確実性に優れた方法です。お腹の手術で例えるなら、開腹してのオペみたいな感じですね。欠点としてはオペ時間・治療期間がどうしても長くなってしまうこと、大きく切開しているためにオペ後の痛み・腫れのコントロールが難しいことが挙げられます。
2つめの骨増生方法であるソケットリフトは、インプラントを入れるための穴から人工骨を入れていきます。お腹の手術で例えると、内視鏡を用いてのオペみたいな感じですかね。大きく切開する必要がないので、オペ時間が短く、痛み・腫れもほとんどありません。欠点としては、手の感覚と経験が頼りのため、3㎜くらいが骨増生量の限界となってしまいます。
整理すると、現在の当院での上顎におけるインプラントの選択基準は以下のようになります。
既存骨が0㎜〜3㎜→サイナスリフトを併用してのインプラントオペ
既存骨が4㎜〜6㎜→ソケットリフトを併用してのインプラントオペ
既存骨が7㎜〜9㎜→ソケットリフトもしくはショートインプラントを選択
既存骨が10㎜以上→通常のインプラントオペ
右上の奥歯を失われた方のCT写真。既存骨は5㎜くらいしかありません。
シミレーションをしてみても、インプラントが上顎洞に突き抜けてしまっています。骨に覆われてないとインプラントは脱落しちゃいますからね。ソケットリフトを併用して上顎洞内に骨増生をする計画を立てました。
オペ後のCT写真になります。インプラント先端に写っているのが、移植した人工骨。インプラントが既存骨と人工骨に覆われていることが分かって頂けると思います。
今の時代、治療が成功するだけではなく、日常生活にできるだけ支障がないような負担の軽い処置が必要でしょう。