院長ブログ

院長 三浦 陽平

2022年 12月 18日

上の奥歯で上顎洞(副鼻腔)と近いためにインプラントができないと言われた方へ

インプラント治療は骨がある場合は、それほど難しくありません。
見た目の美しさが求められる前歯のインプラントと比較すると、奥歯のインプラントはしっかり噛めて磨きやすければ良いだけとも言えます。

しかし、上顎の奥歯においては、上顎洞(副鼻腔)との距離が近く、インプラント治療を断われてしまうケースが良くあります。
顎の骨量が足りないため、上顎洞に骨を造る手術(サイナスリフト)を併用しないと、インプラントを埋め込めないのです。

当院では、上顎において骨の量が足りないケースでは、ショートインプラントを活用しています。
長さ7ミリのインプラントを使用することで、痛みと腫れを伴う骨を増やす手術(サイナスリフト)を避けることができます。
治療に要する期間も、サイナスリフトを行なった場合の3分の1の3ヶ月で済みます。
また高額なサイナスリフトの手術料(通常220,000円〜330,000円)も必要なくなりますから、メリットしかありません。

唯一の欠点が、長期的なデーターが少ないこと。
当院は500本以上のショートインプラントの施術実績がありますが、抜けてきてしまったのは1本のみです。
むしろ、スタンダートインプラントよりもトラブルは少ないように感じています。

上の奥歯において、
・骨を増やす手術を併用しないとインプラントが埋めれない。
・上顎洞(副鼻腔)と近いからインプラントが埋めれない。
と言われた方は、ぜひ当院にご相談下さい!

上顎洞との距離を考慮してショートインプラントを選択した治療例

処置前の口腔内写真。
真ん中の歯を残せない状態でした。
処置前のCT写真。
歯根の上方には、大きい空洞が広がっていることが分かります。
シンプルに抜歯をします。
カラーだと見えにくいですが、モノクロにしてみると、抜歯した箇所の先端部分に穴が空いていることが分かります。
この穴は副鼻腔(上顎洞)に繋がっています。
従来は、口腔と副鼻腔が繋がってしまうのは、インプラント治療の失敗の原因になると考えられてきました。
しかし、最新の知見では、小さい穴であれば問題ないと言われています。
直径5ミリ長さ7ミリのショートインプラントを、シンプルに上顎洞底粘膜を持ち上げながら、抜歯したスペースに埋め込んでいきます。
当院で採用しているインプラントシステムは、少ない骨量でも問題なくガッチリ安定します。
インプラントに仮蓋をセットします。
この状態で2ヶ月半ほど待てば、インプラントと骨は完全に結合します。
術後のCT写真。
上顎洞(副鼻腔)には何も入れないことが成功のポイントです。
副鼻腔炎が発症するリスクもありません。
2ヶ月半待ってから、上部構造の製作に取りかかります。
デジタル印象(カメラによる型取り)用のパーツを入れ、レントゲンで適合精度を確認します。
当院では、奥歯のインプラントは全て口腔内スキャナーを使用しています。
型取りに要する時間は、2分から4分ほどで済みます。
型取りから2週間後にインプラントの上部構造が完成しました。
レントゲンで隙間なく嵌合しているか確認します。
上部構造セット後の口腔内写真。
当院のインプラント治療では、全ての症例においてスクリュー固定を採用しています。
上部構造にトラブルが発生した場合、スクリューを緩めれば容易に外せるメリットがあります。
上部構造を預かって修理することができるので、長期的なランニングコストを軽減することが可能です。
上部構造の穴を樹脂で封鎖して、治療終了となります。
側方からの口腔内写真。
上顎の真ん中の歯が、インプラントです。
他の歯との違いが全く分からないレベルの仕上がりになりました。

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この記事を書いた人
院長 三浦陽平

くげぬま海岸歯科クリニック 院長の三浦 陽平です。何歳になってもしっかり噛めるように、すてきな笑顔でいられるように、20年後・30年後を見据え、やり直しがない本当に良い治療を提供していきたいと思っています。

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