院長ブログ

院長 三浦 陽平

2024年 10月 09日

親知らずの抜歯で生じるリスクについて解説します。

抜歯後に痛みが出る

上顎の親知らずの抜歯後には痛みはほぼありません。
しかし下顎の親知らずの抜歯後には、強い痛みが出ると思って下さい。
当院では、痛みを最小限にするための工夫を凝らしていますがゼロにすることはできません。
もちろん痛み止めでコントロールできる範囲の痛みですので、過度に心配する必要はありません。

抜歯後に腫れる

親知らずが骨に埋まっていたり真横に生えている場合は、周囲の歯茎の切開と骨削除が必要となります。
その結果、強い炎症が生じるため、抜歯後に腫れることがあります。
腫れそのものは、体の反応ですので、3日ほどに落ち着いてきます。

ご飯を飲み込む時に辛い

下顎の親知らずが喉に近い場所に位置しています。
下顎の親知らずを抜歯する際に、周囲の骨を削った場合は、喉まで炎症が波及します。
ご飯を飲むこむことが一時的にしんどくなります。
抜歯後に食事を控えてしまう方もいますが、栄養を摂取しないと傷口が治りにくくなってしまうので、お粥などをしっかり食べることをお勧めします。

ドライソケットになる

親知らずを抜歯した後には、通常時には血液が貯まり、血餅と呼ばれるかさぶたが骨を覆ってくれます。
過度にうがいをしてしまうと、血餅が骨から剥がれてしまい、骨が剥き出しになってしまいます。
この状態をドライソケット=乾いた穴、と言います。
ドライソケットは骨が剥き出しになるため、非常に強い痛みを伴います。
痛み止めを飲んでも、痛みが無くならない場合は、ドライソケットだと思って下さい。
ドライソケットになってしまった際には、歯科医院で骨をカバーするコラーゲンスポンジを挿入する必要があります。

口臭が生じる

親知らずを抜歯した後にできる穴には、しばらくの間、食べカスが挟まってしまいます。
また、抜いた穴が治る過程では、身体の再生因子が集まることにより、異臭が生じることもあります。
口臭が気になる方は、リステリンなどの洗口剤で軽くゆすぐことをお勧めします。

アザができることがある

骨に埋まっている親知らずを抜歯した後に生じることがあります。
抜歯後の内出血が原因です。
顔にアザができてしまうので、患者様からはびっくりされますが、治らないことはありません。
初期段階では青いアザですが、段々と黄色いアザになって、最後は消失します。

鼻(上顎洞)と口が繋がる可能性がある

上顎の親知らずを抜歯した後に生じることがあります。
鼻腔の真横には副鼻腔の一つである上顎洞があります。
上顎洞には、鼻腔から吸い込んだ空気を濾過する役目があります。
上顎洞と親知らずは隣接していることがあります。
そのため、親知らずを抜歯した際に、お口と上顎洞が交通してしまうことがあります。
鼻と口が繋がってしまうため、鼻の空気が口に漏れたり、口の中の水分が鼻に流れ込んでしまいます。
ほとんどのケースでは、放置していても、自然に穴が塞がるので、特別な処置は必要ありません。

上顎洞炎(副鼻腔炎)になる可能性がある

鼻(上顎洞)と口が繋がった際の副次的なトラブルとして、上顎洞炎(副鼻腔炎)があります。
上顎洞炎は、抗生剤を服用することで治ります。

下顎神経を損傷する可能性がある

下顎の親知らずを抜歯した後に生じることがあります。
顎や唇の知覚を司るのが下顎神経です。
下顎の親知らずと下顎神経は、隣接していたり癒着していることがあります。
そのため、細心の注意を払って抜歯しても、下顎神経を損傷することがあります。
下顎神経を損傷してしまうと、唇に痺れが出たり、顎に麻痺が生じてしまいます。
下顎神経の損傷は、他のトラブルとは違い、一生の後遺障害となってしまうこともあります。
当院では、常にCT写真を撮影し、親知らずと神経の位置を三次元的に把握することで、下顎神経にダメージを与えない抜歯を心がけています。

親知らずの抜歯には以上のようなリスクが生じる可能性があります。
いずれも、精密な検査を行い、短時間で抜歯をすることで、リスクを最小限にすることができます。
当院の親知らずの抜歯に要する平均時間は、上顎で5分、下顎で15分、のみです。
親知らずを無理に温存していても何のメリットもないため、早めに抜いてしまうことを推奨いたします。

この記事を書いた人
院長 三浦陽平

くげぬま海岸歯科クリニック 院長の三浦 陽平です。何歳になってもしっかり噛めるように、すてきな笑顔でいられるように、20年後・30年後を見据え、やり直しがない本当に良い治療を提供していきたいと思っています。

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